前回は鳩のポーズで、鳥の名を冠したアーサナが多いというお話から始めましたが、鳥以外にも、いろんな動物の名のアーサナがあります。その中で、猫が一番、アーサナのお手本になる動物です!(と、私は思います。)でも、インド神話で重要な位置にある象にちなむアーサナがないのとは逆に、インド神話には表立って猫は登場しませんし、十二支にも猫は含まれません。猫は人間に近過ぎるのでしょうか。
前回も引用した釈迦の前世物語集『ジャータカ』には、甘言でだまして鶏を食べてしまおうとする猫に、修行の邪魔をする妖婦をたとえた説話があります。飼い主としては、小鳥や虫をつかまえてじゃれつつ殺してしまう習性はまったく困りものですが、猫たちは天心爛漫そのもの。好奇心の旺盛さは呆れ返るばかりですし、寝たい時に眠り、食べたい時に食べるということだけでも見習うべき。ジャンプする時には、きちんとした目測が先行し、眠る時には無防備な寛ろぎの中に瞬発力を秘めていることは立派としか言いようがありません。
<猫のポーズ>原名マールジャーラ・アーサナとは、つまり四つん這いのこと。
<太陽と月の礼拝>でも、重要な部分を占めています。
各種の難しいアーサナが、この形を介在させることでとてもやりやすくなります。
●基本形
正座から入るといいでしょう。
前の床に、肩幅で両手をつきます。基本的には両手を平行に指先を前に向けて置きます。
両膝はこぶし一つくらい離しても結構です。
膝頭が前に来過ぎないように、腿は垂直もしくは少し前傾気味に置きましょう。
手首や肘の内側を伸ばし、上肢の関節の柔軟性を高める形です。bは両手の指を組んでから外向きに返した形です。掌を床につけたまま腰を引いて背中を伸ばすと、更に強調されます。
●手の置き方のヴァリエーション
×
○
<カパラバーティ・クリア>の実習
アーサナに入る前に、浄化のための呼吸を練習してみましょう。
まず、ティッシュで洟をかむつもりで鼻からフンと息を吐いてみると、お腹が連動して収縮します。瞬間的に収縮してすぐに戻るという感じを確認しておいて下さい。
今度は、お腹を瞬間的にキュッと引き締めてみます。すると、鼻からフッと息が押し出されます。主導権が代るわけです。そう、スポイトの腹を押すと尖端から中身が押し出されるのと同じ。お腹の締めをすぐに緩められるように練習して下さい。
これをはぎれのよいリズムで続けるのが<カパラバーティ・クリア>で、翻訳すると「頭蓋を輝かせる行法」。鼻腔などの頭蓋部の空洞に息を通して浄化するわけです。鼻腔の上部には脳の出先機関の嗅球があるということで、脳の浄化というニュアンスも含まれてきます。鼻が通ると頭がスッキリして、目から鼻に抜ける(?)ようになりますよ!
本来は適当な坐法で座って行いますが、お腹の筋肉が緩んで動きやすいこの形を利用すると、とてもやりやすいのです。
a
b
さまざまなヴァリエーションを試してみましょう!
●尻尾を上げる猫
骨盤・胸・頭と三つに分けて、吸いも吐きもその順に運動をつなげていく分割方式と、分けないで、三つの部分を同時に連動しておこなう一体化方式とがあります。各部の動きをきちんと確かめつつ滑らかに全身を連動させることが理想です。両方を併用して練習するといいでしょう。
「猫の中の蛇」 という感覚をヒントにして下さい!蛇がうまく動くためには、縦の可動性だけでなく、横方向の可動性も大切です。特に、両肩を結ぶ線が固定してしまわないよう、気をつけましょう。
●<猫の伸びのポーズ>
伸びをしている猫のように、気持ちよく背中を伸ばします。
*A−3・5は、床に着いた部分が一直線になってバランスが難しくなります。左のように、三角形を作る位置に足を少し移動して練習してもいいでしょう。
@毛を逆立てて怒っている猫のイメージ?
息を吐いて背中を高く上げてアーチの形を作ります。お腹はぺったんこに引っ込んで、頭が両腕の間に入り、肛門が締まって骨盤がほとんど垂直になります。
さて、足はどんな風になりますか?試してみて下さい。なんだか足先を伸ばしたくなる感じでしょう。そんな自然な連動がみつかるといいですね。
Aお尻と頭が高く上がって、お腹と胸が下がります。横から見ると英語の大文字のMのような形。
すると、首から上の頭の部分は余分?いいえ、とても大事なんです。首をすくめないでしっかり伸ばしてみましょう。猫の体の中に蛇が一匹いるって感じにね!
この時は、足はどんな風ですか、@の時と違う感じになるでしょう?
@基本形
A片足上げ
思いっきり上げてみて下さい。信じられないくらい上がりますよ!
B捻じり
A+B
片足を上げて、腰を逆側に倒し、足先を床につけてみましょう。
●<笑い猫のポーズ>
転がってふざけている猫を思わせる捻じり形です。
でも、アーサナとして行うからには、中心線をきちんと通す必要があります。
開始姿勢
@
A
B
●<牡牛のポーズ>
なぜ、牡牛なのかしら?片側の体側をかなり伸ばすアーサナです。
●<直角三角形のポーズ>
本来は立位から行います。猫からならずっと楽に入れますが、幾何学的な形をきちんととって、体側をしっかり伸ばしましょう。
準備姿勢
@(吐)
A(吸)
@(吐)
A−1(吸)
いよいよ本番!呼吸と動作を一致させることが最初のテーマです。
●基本の呼吸運動
@息を吐いて背中を上げる時に、
片脚を引き寄せて、額につけます。
A息を吸って反る時に、その脚を高く上げます。
*骨盤をうまく反らせることが大切です。脚だけを上げようとすると、骨盤が傾いて脚が内側に倒れてしまいます。鏡でチェックしながら練習しましょう。
次は、同時に手も上げます。
A−2 逆側の手
A−5
同側で弓形
A−4
逆側で弓形
開始姿勢は、四つん這いから入ります。片手を逆手の後ろから差し込み、逆手を重ねます。元の正中線上の床に側頭部をつけます。
@上の手を開いて腰に回した形。
Aよく捻じれて手が床についた形。
B開く手と同じ側の脚を逆手の近くに伸ばしておくと、上半身が開きやすく、解放感のあるアーサナとなります。
猫の呼吸運動のヴァリエーションを全部つなげて行ってみましょう。ここでは、左脚の動きだけお見せしていますが、それぞれ右脚の動きも加えつつ行って下さい。
<猫の連続アーサナ>
A−3 同側の手
ここに示したものはほんの一例です。ほかの様々なアーサナへのゲートとして、猫の形はとても役だってくれますよ。
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第2回