基本の準備体操
●下肢の体操

両脚を少し開いて前に伸ばし、腰の後ろの床に両手をついて、腰を弛ませて座ります。


@脚全体の揺さぶり
そよぐような柔らかな動きで、脚の付け根から足先までを左右に揺さぶります。
30回くらい

足先を揺らそうとするとぎこちない動きになります。腿を動かすことによって足首から下が動かされるのです。脚全体が勝手に動いているような自然な動きをみつけましょう。

次に、片足をもう一方の腿に乗せ、足裏を上に向けます。
A足指…伸ばす・回す・前後に引く・開くetc.


(1)まず足指を小指から順に1本ずつ、すべての関節が伸びるように引き伸ばしていきます。

(2)足指を小指から順に1本ずつ、2,3本の指で持って両方向にぐるぐると回します。

(3)小指と次の指を前後に(甲の側と足裏の側に)開くように引き、逆向きにも引きます。1本ずつ指をずらして、親指まで同様におこないます。

(4)小指と次の指の間を開きます。1本ずつ指をずらして、親指まで同様におこないます。

このうち、(1)と(4)は最低限おこないましょう。回してから伸ばすように(1)(2)をいっしょにしても結構です。
B足首回し
足指の間に、反対側の手指を小指から順に裏側から(手と足で握手するように)入れて、腿の上に足首を乗せて同側の手で足首を支えながら、足先がきれいな大きな円を描くようにしっかりと回します。
10回くらいずつ両方向に

手指を入れたら、回す前に、足指を裏側に引くのと反らせるのとをおこなっておいてもいいでしょう。
足首は、小さな骨が石垣のように組み合わさって複雑な運動に適した構造だということを念頭に置き、本来の可動性をうまく引き出すようにしましょう。

C足の捻じり
片手で足先を、もう一方の手で踵を持って、雑巾を絞るようにして足を捻じります。両手を持ち替えて逆捻じり

D足裏叩き
両手で、足裏を足先から踵まで満遍なく叩きます。30回くらい

その足を床に置き、膝を立てます。

E足首〜アキレス腱・ふくらはぎ・腿の裏側
(1)足首の前で指を組み、足首を周りから引き締めつつ、アキレス腱に親指を重ねて押したりはじいたりして弛めます。手の位置を少しずつ上方に移動しながらおこないます。

(2)組んだ指を外して、両手のすべての指で、ふくらはぎの2つの筋肉を膝裏に向かってなぞり上げます。

(3)腿の裏側で指を組み、掌の付け根(掌骨底)で腿の裏側の筋肉(ハムストリングス)を挟み、締めたりはじいたりして弛めていきます。手の位置を少しずつ移動しながら、坐骨の近くまでおこないます。

F膝関節

膝の裏側を同じ側の腕で抱えて足を浮かせ、足先で垂直の円を描くように回します。5回くらいずつ両方向に

ちょうど風車のようなイメージで、無理のない楽な動きで、大きなきれいな円を描くようにしましょう。

(1)

(2)その足を逆脚の付け根(ソケイ部)に乗せ、息を吸いながら膝を胸元に寄せ、吐きながら床に下ろします。5往復くらい

(3)同じ形で、膝頭でできるだけ大きな円を描きます。5回くらいずつ両方向に

(4)同じ形で、膝を床に軽くバウンドします。30回くらい

膝の動きに意識が向きがちですが、股関節の運動です。目を閉じて股関節の内側に意識を置いて、股関節を弛めるようにしながらおこないましょう。


G股関節
(1)足の親指を同じ側の手指で持ち、まず膝を外側に曲げた位置から、足先で水平の円を描くように回します。
5回くらいずつ両方向に

臼を挽くような動きですが、できるだけ大きなきれいな円をきちんと水平に描くようにしましょう。そのためには、前の位置では充分に脚を伸ばし、外側から引き寄せる時には少し強めに引くなど、位置毎のコントロールが必要です。



(2) (3)

もう一方の脚も、AからGまでを同様におこないます。
そのあと、両脚をそろえて前に伸ばし、腰の後ろの床に両手をついて、腰を弛ませて座ります。

H呼吸運動
息を吸って足先を伸ばし、吐いて踵を突き出します。
ゆっくり10〜20往復

ちょうどストローで吸い込むように、足先から脚の根元まで、更には下腹まで息が入ってくるという感覚で足を伸ばします。足裏が床につくくらいに伸ばすつもりで。
坐骨から脚の裏側を経て踵から息を吐いていくつもりで、足先を引き踵を床から浮くほど突き出します。
両動作とも、吸いながら吐きながら同時に運動するというのでなく、呼吸と動作が一体化するようにしましょう。また、足首の屈伸運動としてのみおこなう場合は呼吸を逆に用いて結構です。

●上肢の体操

両足を引き寄せて足首を交差し、あぐらの形で座ります。

@上肢の手組み伸ばし
(1)前伸ばし
両手を組んで下向きに返し、息を吐きながら前に水平に伸ばし、同時に背中を後ろに引きます。
楽にできるなら、更に、上向きに返して同様におこないます。

腕の伸びと背中の引きを拮抗させるようにして肩甲骨を開きます。できれば親指を下に向け掌をしっかりと前に向けます。難しい場合は、片手ずつ指を引いて手を反らせます。甲側の伸ばしを加えても結構。

(2)上伸ばし
手の返しをいったん戻してから、息を吸いながら、あらためて前向きに返しつつ頭上に伸ばしていきます。

肋骨ごと引き上げるようなつもりで、両腕で耳を挟んで真上にしっかり伸ばしましょう。











(3)横伸ばし
手を返して耳を挟んだまま、息を吐いていったん伸びを軽く弛め、息を吸って吐きながら斜め右側に伸ばします。左側にも同様に。それぞれ1回

息を吸いながら反対側の体側を膨らませて腕を傾け、続いて息を吐きながら反対側の体側の伸びと拮抗させるように伸ばすようにするといいでしょう。



頭上に一度軽く伸ばしてから組んだ手を外して開き、両腕を真横に伸ばします。

A肩関節の運動
(1)前回し
腕を水平に楽に保ちつつ、肩関節で前回しします。息を吐きながら肩甲骨を開き、親指を前に下ろし更に後ろに上げていくくらいを目安にしておこないます。1回

(2)後ろ回し
続いて、同じく肩関節で後ろ回しします。胸に息を入れながら上半身を少し反らせるようしておこないます。小指を前から上げて後ろに向けていくくようにおこないます。1回

肩関節は下図のように、肩甲骨の端に上腕の骨頭が嵌った形状になっています。電球のソケットを回すようなイメージでおこないましょう。

             

肘を折り、両手の指先を肩に乗せます。


B肩甲骨の運動
(1)前回し

肘を前に寄せてからいったん下ろし、息を吸いながら後ろに開いて上げ、吐きながら前に寄せて下ろします。3回

(2)後ろ回し
次は逆の動きで、肘を下ろしたところから、息を吸いながら肘を前に寄せてから上げて開き、吐きながら後ろに下ろします。3回

胸を開くことを重視して後ろ回しをあとにします。画像では表現されていませんが、(1)(2)とも吸いながら上げるときは腰を伸ばし、吐きながら下ろすときは腰を弛め、呼吸と動作を一致させてメリハリを持たせます。腰から上全体の呼吸運動ですが、特に肩甲骨の動きを十分引き出すようにしておこないましょう。

両手を下ろし、腰の後ろで指を組みます。

Cヨーガ・ムドラーの呼吸運動

息を吸いながら、組んだ手を後ろに上げて胸を張り、頭を反らせます。
息を吐きながら、手を腰の後ろに付けて背中を引き、顔をおなかに近づけます。
以上をゆっくりと大きな呼吸で続けます。3〜5往復くらい

前後運動というより、開閉運動のつもりでおこないましょう。
吸いながら反るときは前面を開きます。胸郭を大きな風船のように膨らませましょう。上げた手と背中の間に小さな風船を抱かえるイメージでも結構です。
吐きながら前屈するときは背面を開きます。今度は背中が風船の表面になります。そのために、肘を体側より前に引いて、肩甲骨と背中の横方向の伸びを導きましょう。体の前に小さな風船を抱かえるイメージでも結構です。
●首の体操
@屈伸
(1)前
上体を垂直に立てたまま、息を吐きながら、頭をその重さだけを用いるようにして前に倒します。自然に顎が鎖骨にくっついていく感じで。吸いながら起こします。1回

(2)後

続いて、息を吸いながら、頭をその重さだけを用いるようにして後ろに倒し、喉を気持ちよく開き伸ばします。吐きながら戻します。1回









(3)左右
息を吐きながら、頭をその重さだけを用いるようにして真横に倒します。反対側の肩をおろし、首筋の伸びを味わいながらゆっくりと左右各1回

首筋が伸びにくい場合は、首筋の中心から息を吐くようにして弛めて伸ばしましょう。

A回転(転がし)
頭をその重さだけを用いるようにして回します。左右両方向にそれぞれ20カウント(5カウントが90°)で。

画像は、数コマの動きで表現してありますが、滑らかな連続した動きでおこないます。肩は動かさないで首だけの動きにします。また、余分な捻じりを加えないようにしましょう(顔面が左右に向かないことが目安です)。
B捻じり(軸回転)
まず、腰を起こして背筋を伸ばし直します。
真っ直ぐ正面に向けて息を吸い、吐きながら視線を横に水平に移動していきます。肩が動かないで行けるぎりぎりのところまで首を回したら、息を吸いながら視線を水平に移動して正面に戻し、その延長で、反対側に同様におこないます。

画像は、数コマの動きで表現してありますが、滑らかな連続した動きでおこないます。頭の軸を垂直に保ったまま、灯台になったつもりで視線を巡らせましょう。見渡すのではなく、視線の移動を運動のコントロールに使うことは、アーサナの重要なテクニックとなります。
Aの回転よりBの捻じりをあとにするのは、中心軸のすっと通った感覚を残すためです。




最後に、背筋を楽に伸ばして目を閉じます。
中心線がすっと伸び、周辺の力が抜けた状態を味わいながら、深い呼吸を何度かおこないます。

クラスでは、このあと、目を開けて立ち上がり、太陽と月の礼拝、そして季節の体操という順に続けます。
 以上、クラスでおこなう準備体操の基本的な形をご紹介しました。
左右いずれを先におこなうかは自由に選んでください。呼吸の使い方や体操の順序など、一般的なやり方と多少違う部分がありますが、理由あっての私の選択です。自修の際は、ご自分のやりやすいようにあるいはよりコンパクトにアレンジしておこなっても結構です。
 ほかにも、「目の体操」や「足指の体操=前後運動、開閉運動、じゃんけんなど」合蹠の股関節体操(蝶々)「骨盤歩き=長座での前進・後退」などなど、いろんな準備体操があります。クラスでは、上記の体操の流れの中に入れたり、「季節の体操」の中に組み込んだり、個々のアーサナの準備としたりしています。「季節の体操」に入っているものなどを適宜、自修の際に用いてもいいでしょう。

朝菜会のクラスの最初におこなうものです。